Cielo Estrellado Report
神奈川臨海鉄道浮島線
臨海を駆ける蒼い機影
2006年3月27日 調査
まえがき
「神奈川臨海鉄道浮島線」、いや、「神奈川臨海鉄道」という名を知る人は少ないだろう。
私も神奈川臨海鉄道が走る地域の近辺に住んではいたが、全く知らなかった。
つい最近、某サイトで掲載されていたのを発見。気になったので、実際に調査してみた。
おにぎりを二つだけ持って、初めての鉄道調査…
前途多難に見える。普通に見ても。
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始めに出会ったのは、この踏切である。 今は使われておらず、風景の一部となっているのかと思いきや、 神奈川臨海鉄道水江線(みずえせん)の踏切なのだそうだ。 情報によれば、非常に稀だが列車が通るとか。 正直、こんな踏切は見た事が無い。 「CAUTION」などと書いてある踏切は、 もはや歴史を象徴するものとなっている。 川崎市川崎区 夜光町 神奈川臨海鉄道 水江線踏切にて |
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やがて右手に「浮島」の看板が見えてくる。 集めた情報をまとめておいたメモ帳を手にさらに南下すると、 「キグナス石油専用線」と記載されていた場所を発見。 川崎市川崎区 浮島町 キグナス石油専用線入り口にて |
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浮島町に入って数分。 キグナス石油専用線の先には、 末広町(すえひろちょう)という割と大きな駅があるそうだ。 その途中、浮島橋という橋から撮った写真。 写っている運河は「多摩運河」という名称だそうだ。反対側は多摩川だった。 川崎市川崎区 浮島町 多摩運河にかかる浮島橋にて |
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その先にやってきたのが末広町駅。 川崎市の貨物(後に知りましたが、川崎市宮前区のからの生活廃棄物運搬列車である「クリーンかわさき号」のコンテナであった)がかなり積み上げられていた。 看板の前にある「停車場中心」という標柱がお眼に入るだろうか。 カメラの不具合で、写真上部が青い…orz 川崎市川崎区 浮島町 末広町駅にて |
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末広町駅を出てすぐ、東燃の専用線入り口が。 右に曲がるカーブを目で追いかけてみると、 それは工場の中へ伸びていった。 鉄道門左側のそばにある標柱には、 「半径130メートル」を表す文字が書かれていた。 川崎市川崎区 浮島町 東燃専用線入り口にて |
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工場構内まで丁寧な踏切が。 「茶色の通路をお通りください」…だそうです。 上記場所と同。 |
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さらに南下。 気付けばもう昼時だったので、おにぎりを頂く。「お、梅か。」なんて言いながら南下していると、浮島町(うきしまちょう)なる駅標が見えてきた。 といってもそこは単なる分岐点で、 駅標がなければただの分岐だと思ったくらいだ。 川崎市川崎区 浮島町 浮島町駅にて |
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浮島町駅の分岐点を直進し更に南下。 しばらく行くと、線路上に止まっている青いトラックを発見。工事をしているようだ。 何をしているのか気になったので線路を覗いたところ、これを発見した、という次第。 「本線終点 4K052」と記されている。 だが、この様なトワイライトな線は謎が多い。 終点とあってもその先まで線路が続いていたりと…現に、ここもそうだった。 終点後も延びる線路に沿って先に進む。 川崎市川崎区 浮島町 浮島線終点にて |
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一瞬、「何だコイツは!?」と思う光景を見る。 見た事も無い踏切標識…錆付いてはいる「とまれみよ」との文字がうかがえた。しかし、とまるものなど誰もいないのだ。 終点の先なので本格的な踏み切りは必要ない、との事での簡易式か。 役目を剥奪されたこの踏切は、浮島に何を語っているのだろう。 この踏切は、浮島の過去を語る証人である。 川崎市川崎区 浮島町にて |
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必要が無いからとはいえ、この仕打ちは鉄道ファンには悲痛だろう。 この標識は、咲き誇るたんぽぽを羨ましそうに見ているに違いない。 「たんぽぽや 眠る踏切 かたわらに」 川崎市川崎区 浮島町にて |
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例の踏切からしばらく歩くと、車止めが見えた。 ここが、本当の終点。 この辺りのレールは錆付いてチョコ色をしているため、列車は長い間来ていないようだ。 終点からここまで、約220メートル程だった。 昔はこの先まで線路が続いていたのでは…などと思い、車止めの更に奥も探してみたが、レールが撤去されたような跡はなかった。 川崎市川崎区 浮島町にて |
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さて、今度は北上して浮島町駅まで戻る。 分岐を西へと向かう。 この辺りは「かなりん」の撮影スポットとして有名。と同時に工業地帯で、薬品のにおいが鼻をつくため、長時間いるのはきつい。 歩道が無いところに大型のトラックがかなりのスピードで通過していく。危険すぎです。 そこで見えたのは、タキの群れであった。 JOTの専用小ヤードのようだ。 「かなりん」の列車も、ここで貨物の入れ替えなどを行っているらしい。 川崎市川崎区 浮島町 JOTターミナルにて |
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JOTのスイッチャー(入れ替え専用の小型機)。 なんだか可愛らしい。 川崎市川崎区 浮島町 JOTターミナルにて |
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そのまま西に進むと、日本触媒という工場の専用線が見えた。 工場の入り口の踏切から奥を臨んでみると、どうやらこの辺で終点らしい事が分かった。 川崎市川崎区 浮島町 日本触媒専用線にて |
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旅もひと段落し、そろそろ「かなりん」のDD55が入れ替えにやってくる時間。という訳で先程のJOTターミナルまで引き返そうとした瞬間、 勇ましい警笛音を耳にする。 音量的に、それほど遠くはない! 急いでターミナルに駆けていったが、すでにその姿は消えていた。 「50分の忍耐が…」 これだけの為に50分待ったが… 次に会えるのは50分後。 「長い」、ただそれだけだった。 暇つぶしに、ターミナルの転てつ機(ポイント切替え装置)と寄り添うノゲシを撮ってみた。 川崎市川崎区 浮島町 JOTターミナルにて |
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しょうがなくDD55を諦め、今度は同臨海鉄道千鳥線を見に行く事にし、引き帰した。 残ったおにぎりを食しながら、ひたすら歩く。 途中でゴミ袋を持って自転車に乗った、「かなりん」の職員の方が後ろから通り過ぎる。なぜゴミ袋?と思った瞬間だった。 すると、例の汽笛が響いてきた。 それは、少し先の東燃専用線からだった。慌てて駆け出して、そこの鉄道門で待っていると… 来た!念願のDD55が! 鳴る事の無かった踏切も、 嬉しそうに音を響かせた。 川崎市川崎区 浮島町 東燃専用線入り口にて |
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「もう二度となることも無いのか?」と思っていた踏切が、DD55の通過と共に鳴っている!そう、 赤いランプを煌々と灯しながら。 古びた警報音が、心を揺さぶった。 ふとDD55に目をやると、ゴミ袋を持った先程の職員方がDD55の横にいた。 何をするかと思いきや、職員の方々はゴミ袋を持って、DD55のデッキに乗り込んでいった。 川崎市川崎区 浮島町 東燃専用線入り口にて |
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列車はやがて発車し、川崎貨物ターミナルに向け走り去っていった。 私は、このショットを撮るためにここを歩き、ここで念願のショットをした。満足だった。 私は久し振りに長距離を歩いた為、既に足の土踏まず辺りに肉刺を作っていた(矛盾する気もするが、確か土踏まず辺りだった)。 その足を無理矢理動かして、今度は同鉄道の千鳥線へと向かう。 その帰りに、もう1ショット。 もう満足です。2回も撮れたら…でも逆光だ。 川崎市川崎区 浮島町 東燃専用線入り口にて |
あとがき
人生初の自己調査&レポートは、某サイトに即発されてのものとなった。
足に血肉刺を作りながらも自らの脚で歩き、自らの目で確かめた甲斐はあった。
今回は、神奈川臨海鉄道浮島線の現状を見ることが出来、非常に嬉しい。
この後、私は神奈川臨海鉄道千鳥線へと向かう。
千鳥線のレポートもお楽しみあれ。
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